子供と大人の免疫反応の如何る違いがCOVID-19の病態の違いを生むのだろうか?

The University of Hong Kong, Hong Kong, Chinaらのグループは、子供と大人の免疫反応の如何る違いがCOVID-19の病態の違いを生むのかについて考察しています。
https://www.nature.com/articles/s41467-021-24938-4

SARS-CoV-2 の感染において、子供の方が大人よりも軽症であることは良く知られていますが、その免疫機構の違いについては良く分かっていません。いくつかの仮説は提唱されています、例えば、自然免疫の強さ、自己抗体の減損、抗体反応の違い、過去に罹った一般的な風邪のコロナウイルスとの交差反応の強さ、ベースラインのIgMの量などです。

大局的にみると、本研究からは次のことが分かります、(1)SARS-CoV-2のウイルス構造タンパク質に対するIFNγ CD4+ 及び CD8+ T-細胞応答、ORF1abタンパク質に対するCD8+ T-細胞応答らが子供において大人よりも顕著に低いという事、(2)過去のβ-coronavirus に対する免疫が子供の方が大人よりも顕著に少なく、免疫ベースラインに違いがあることを示唆すること。

してみると、過去の β-coronavirus に対する弱い免疫や、弱いT-細胞応答が、子供がCOVID-19で軽症で済んでしまうことをドライブしているかも知れないのです。