SARS-CoV-2に感染して一年後の抗体の自然進化の様子

Rockefeller Universityらのグループは、SARS-CoV-2に感染してから1年後の自然抗体の様子について報告しています。
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2021.05.07.443175v2.full

ワクチンを接種していない回復期患者の場合、抗RBD-IgGは感染後6カ月から1年の間維持されていました。ワクチンを接種した場合は、抗RBD-IgGのレベルがほとんど30倍近くも上昇していました(下図において、Vacは、ワクチン接種を受けたことを示す)。

63人の血漿中和活性をSARS-CoV-2 Spikeタンパク質を発現するHIV 偽ウイルスを用いて測定しています。感染後12カ月で、ワクチン接種を受けていない37名の中和活性(NT50)は75であり、感染後6.2カ月のそれとほとんど違いませんでしが、ワクチン接種を受けた人では、NT50の値は3,684に達し、これはワクチン接種を受けていない人のほとんど50倍にもなっていました。

時間経過とともに中和活性に広がりがあるかどうかを確認するために、60人の中和活性をRBDの変異(R346S、K417N、N440K、A475V、E484K、N501Y)を含むパネルを用いて評価しています。下図のように、K417N、N440K、A475V、E484K、N501Yに対して中和活性が上昇しているのは明らかであり、このことは時が経つにつれて、抗体の中和活性の幅が広がって進化していることを示しています。