NeuGcシアル酸に特異的なインフルエンザウイルスのヘマグルチニンを作ることが出来る

Department of Chemical Biology & Drug Discovery, Utrecht Institute for Pharmaceutical Sciences, Utrecht University, Utrecht, the Netherlandsらのグループは、A型インフルエンザウイルスのヘマグルチニンの糖鎖結合特性を幾つかの変異を導入することでNeuAcからNeuGcに変更できるとしています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35044215/

A型インフルエンザウイルス(IAV)は、細胞表面の末端シアル酸を持つ糖鎖に結合することによって感染を開始します。 IAVの宿主は、シアル酸の2つの主要な形態、N-アセチルノイラミン酸(NeuAc)とN-グリコリルノイラミン酸(NeuGc)を様々に発現しています。NeuGcは、NeuAcのヒドロキシル化を促進してNeuGcに変換する酵素「CMP-N-アセチルノイラミン酸ヒドロキシラーゼ(CMAH)」の活性型を発現する種にのみ発現します。 CMAHをコードする遺伝子は、主に哺乳類の種で発現していますが、進化中にCMAHが部分的または完全に失われた結果として、ヒト、フェレット、ヨーロッパの犬、鳥類では、NeuGcは発現していません。

ヘマグルチニンのNeuGc結合特異性を、次のような手法で実現することが出来ています。
(1) A135EとI130Vの変異を導入、或いはT189AとK193Rの変異を導入(A/Chicken/Jalisco/12283/2012 H7N3株のヘマグルチニン)、

(2) S128T、I130V、A135E、T189A、K193Rの5種の変異を導入(A/Turkey/Italy/214845/02 H7N3株のヘマグルチニン)、そして

(3) A135E、D189A、K193Rの3種の変異を導入、或いはS128T、I130V、A135E、D189A、K193Rの5種の変異を導入(A/Duck/Australia/341/1983 H15N8株のヘマグルチニン)。