COVID-19重症患者の治療効果:IL-6阻害剤であるトシリズマブとステロイド剤であるデキサメタゾンの用い方が肝要

Jan Kochanowski University, Kielce, Polandらのグループは、COVID-19重症患者に対するトシリズマブとデキサメタゾンの使い方とその治療効果について報告しています。ブログ管理人はお医者様ではないのですが、仮に自分がそうなった場合に、治療法に対する知識があると良いですよね。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8291861/

4つのグループ(トシリズマブ(TCZ)で治療、TCZ とデキサメタゾン(DEX)両方を使って治療、DEXのみで治療、TCZ も DEXも使用していない)を比較しています。TCZのみを用いたグループで死亡率が6.8%と顕著に下がっており、他のグループでは19.6% ~ 23.1%でした。特に、IL-6の濃度が100pg/mLを超えるような患者ではTCZの効果はより顕著であり、TCZのみの場合とその他の場合で、5% 対 22.9% ~ 51.7%となりました。
感染後21日、そしてまた28日後の症状の改善にも大きな違いが出ており、TCZのみの場合で、それぞれ 60% と 75%となっており、DEXのみの場合の数値と比べると倍の効果が出ています(それぞれ、27.6% と 37.9%)。

このようにして、COVID-19の重症患者においては、特にサイトカインストームをひき起こしている場合には、死亡率、症状の改善、退院率などにおいて、TCZはDEXよりも顕著な治療効果を示しています。COVID-19重症患者の場合には、TCZとDEXを合わせて使用しても、TCZ単独の場合に比較して、治療効果には改善は見られないことは特質すべきでしょう。