COVID-19に対するmRNAワクチンを接種後に産生される中和抗体の発現とそれを裏付ける血液中のサイトカイン/ケモカイン・マーカー

National Cancer Institute, Frederick, USAらのグループは、COVID-19に対するmRNAワクチン(Pfizer)を接種後に産生される中和抗体の発現と、それと高い相関性を示す血液中のサイトカイン/ケモカイン・マーカーについて報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8299183/

PfizerのCOVID-19に対するRNAワクチンを接種した63名に対する中和抗体の産生に関するコホート研究からです。このコホートには、二種類の受検者が存在し、58名のグループは、ワクチン接種前にはCOVID-192感染していない人達であり、6名のグループは、ワクチン接種前に既にCOVID-19に感染した人達です。58名の受検者については、ワクチン接種後3週間で免疫応答が立ち上がり(22日)、その後2回目のワクチン接種後に急激に免疫が強化されています(36日)。比較して、COVID-19の発症経験を持つ5名の受検者の場合は、ワクチン接種のその日に既に免疫応答を示し、急速に免疫が強化されました(8日)。その後は特に免疫の上昇は見られず、2回目のワクチン接種でも変わらず、しかし、非常に高い免疫応答を示しています。COVID-19を過去に発症した人は、1回のワクチン接種で十分なブーストが掛かるということです。

この研究のハイライトは、mRNAワクチンによって誘起された幾つかの免疫制御分子がワクチンによる免疫応答と良く相関しているということを示していることであり、特に、初期のサイトカインとケモカイン(IL-15、IFN-γ、そしてIP-10/CXCL10)の発現と動きが、mRNAワクチン戦略の有効性を最適化する上に置いて、非常に有効なマーカーになるということです。