新型コロナウイルス(COVID-19)患者の尿の定量的比較プロテオーム解析

Beijing Proteome Research Centerらのグループは、新型コロナウイルス(COVID-19)患者と健常者の尿から、その比較プロテオーム解析を行い、COVID-19に特徴的な尿中マーカーを報告しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33688631/

健常者の尿からは、2656種のタンパク質が同定されました。健常者、COVID-19、回復者に共通するタンパク質は1008種ありました。COVID-19患者に特有なタンパク質が211種、回復者に特有なタンパク質が63種みつかったようです。

COVID-19で上昇するタンパク質もあれば、逆に減少するタンパク質もあります。
代表的な例としては、下記があげられます。しかし、当ブログ管理人の観点からは、尿のプロテオームが診断として有効かどうかには疑問があります(重症だけ識別できてもね、という思いがあるからです)。診断というよりもCOVID-19の病態解明に寄与しそうに思います。回復しても健常者と同じレベルには回復していないというのは、COVID-19の後遺症の重さが関係しているのでしょう。

IGLV1-40: 重症のCOVID-19で14倍増加
FKBP1A: 重症のCOVID-19で13倍増加
LUNA: 重症のCOVID-19で37倍増加
PARK7: 重症のCOVID-19で7倍増加

CD9: 重症のCOVID-19で1/12に減少
EGF: 重症のCOVID-19で1/25に減少
MME: 重症のCOVID-19で1/18に減少
CUBN: 重症のCOVID-19で1/19に減少