マンソン住血吸虫由来のエクソソームの糖鎖プロファイルと免疫回避の関係性:α2-6シアル酸の重要性とその由来

Institute of Parasitology, McGill University, Ste-Anne-de-Bellevue, QC, Canadaらのグループは、マンソン住血吸虫由来のエクソソームとその由来について研究しています。
https://www.mdpi.com/2076-0817/10/11/1401/htm

レクチンマイクロアレイを使用して、マンソン住血吸虫のエクソソームに強いアフィニティーを示すいくつかのレクチンが同定され、これらのエクソソームに複数の糖鎖構造が存在することが示唆されました。興味深いことに、末端α2-6シアル酸の糖鎖構造を認識するレクチンである SNA-I は、マンソン住血吸虫由来のエクソソームに対して強いアフィニティーを示しました。 SNA-IIおよびRCA-I は、シアル酸終端で終わることが多い糖鎖構造にアフィニティーがあり、強い信号強度を示しました。更に、4つのマンノース結合レクチン Calsepa、NPA、GNA、HHA は強い信号強度を示し、ハイマンノース型糖鎖構造が豊富にあることが示唆されました。

問題は、シアル酸が何処に由来するのか?ということです。
エクソソームの可能な発生源としての住血吸虫の組織を特定するために、マンソン住血吸虫エクソソームに対して強い親和性を示す3つのレクチン(DSA、RCA-I、SNA-I)を使用して成虫全体に対して組織免疫染色を行いました。 100%の上皮細胞はSNA-Iに陽性、DSAはほとんどの上皮細胞と寄生虫の腸から、RCA-Iは上皮細胞と排泄孔および排泄管らを含む組織から検出されました。総合すると、これらの結果は、複数のエクソソーム亜集団の存在と、成体住血吸虫からのエクソソーム放出における上皮および消化器系および排泄管系の関与を示している可能性があります。

一般的に、シアル酸は、免疫回避を助け、感染ターゲットに影響を与えると言った観点において、感染の過程で重要な役割を果たすため、マンソン住血吸虫由来のエクソソームの糖鎖修飾とその由来に関するこの発見は非常に興味深いものです。