カテキン類の一種であるGCGがSARS-CoV-2の増殖を阻害する治療薬となり得る

Fudan Universityらのグループは、緑茶に含まれるポリフェノールであるガロカテキンガレート(Gallocatechin gallate: GCG)がSARS-CoV-2の増殖を効率よく抑えることを示しました。
https://www.nature.com/articles/s41467-021-22297-8

SARS-CoV-2のNタンパク質はRNA結合性の構造タンパク質であり、RNAを抱き込んで周囲にシェルを作ります。これは、細胞質中で細胞膜レスの油滴のような巨大分子構造を作る現象である液液層分離(Liquid-Liquid Phase Separation: LLPS)の典型例です。
SARS-CoV-2に感染した細胞中で見られるNタンパク質によるLLPSを、緑茶に含まれるポリフェノールであるGCGが効率よく阻害することが確認されました。Nタンパク質のアミノ酸配列は、コロナウイルスにおいて高く保存されており(~90%)、COVID-19のみでなく、将来の新型コロナウイルスに対する治療薬となる可能性があります。