SARS-CoV-2 の M1、M2 肺胞マクロファージへの感染の違いについて

Peking Union Medical Collegeらのグループは、SARS-CoV-2の二種のマクロファージであるM1マクロファージとM2マクロファージへの感染の違いについて、肺上皮細胞との比較も含めて議論しています。
https://www.nature.com/articles/s41421-021-00258-1

一般的に,M1マクロファージは炎症性、M2マクロファージは抗炎症性であると言われています。SARS-CoV-2の感染と増殖について、肺上皮細胞(AT2)とM1マクロファージ、M2マクロファージを比較すると、AT2よりも明らかにM1マクロファージでの感染が強く、M1マクロファージでは指数関数的にウイルスが増殖し、M2マクロファージでは線形的に増殖することが示されました。SARS-CoV-2の感染受容体はACE2とされており、マクロファージにもACE2が発現しているという報告があります。しかしながら、ACE2を過剰発現させても、ノックアウトさせてもマクロファージへのSARS-CoV-2の感染には影響がありませんでした。マクロファージへのSARS-CoV-2の感染は貪食が起点になっているようです。
著者らは、M1とM2マクロファージへのSARS-CoV-2の感染力の違いについて、細胞の柔らかさと、エンドソームおよびライソソームにおけるpHの違いを関係づけています。