COVID-19の重症者では、CD8 T-細胞の活性が低下し、アナフィラトキシンが増加している

Medical University of Innsbruck, Innsbruck, Austriaらのグループは、COVID-19におけるT-細胞応答と関連する液性免疫についての研究をレポートしています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8237940/

SARS-CoV-2に特異的なCD8+ T-細胞とIFNγの産生がCOVID-19の軽症者では重症者に比べて顕著に増加しています。すべてのCOVID-19患者において、SARS-CoV-2特異的な中和抗体は同程度に存在しており、軽症、中症、重症の間でウイルス中和抗体の間には大きな差異は存在していません。そしてさらには、重症からクリティカルな患者においては、増加した抗体力価に起因する異常な補体形成が進行し、アナフィラトキシン(C3a、C5a)のレベルが上昇していました。通常ならは、補体はウイルス感染に対して防御的に働くのですが、COVID-19の場合には、局所的な補体の活性化が組織へのダメージを引き起こし、重症化を招いているようです。

本研究は感染初期の多様な機能を持つCD8+ T細胞の免疫作用と低いレベルのアナフィラトキシンが軽症と関係していることを示唆しています。

最後に、著者らは、浸潤してくる骨髄性細胞に起因する組織へのダメージや肺の炎症を抑えるために、C5a–C5aR1捕体系路を阻害する方法をCOVID-19の治療法として提案しています。