麦わら戻し効果:根圏のフサリウムなどの病原菌を抑える

Key Laboratory of Plant Immunity, Department of Plant Pathology, Nanjing Agricultural University, Nanjing 210095, Chinaらのグループは、麦わらを土壌に戻すと病原菌を抑えることが出来ると報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8951542/

麦わら戻し、つまり小麦の茎を細かく砕いたものを、小麦-大豆輪作システムで、土壌表面に直接加え戻しました。 しかし、この麦わら戻しが作物の根圏細菌叢にどのように影響するかについては従来ほとんど知られていませんでした。根圏細菌叢は、畑の土壌の細菌叢よりも植物の健康に密接に関連しています。

本研究では、麦わら戻しによるバクテリアの相対的な存在量に有意な変化は見られませんでしたが、興味深いことに、真菌では有意に変化していました。
具体的には、幾つかの植物病原体関連真菌属、例えば、フザリウム、およびアルテルナリア、の相対的な存在量は、麦わら戻し後に減少し、アクレモニウム、ミコスフェレラ、ピレノケトプシス、ピレノフォラ、トリコデルマ、およびフェオスフェリアの相対的な存在量は増加していました。これら後者の真菌属は、セルロース分解活性に関連していることが知られています。


ここで、「U」と「D」は、相対存在量がそれぞれ大幅に増加および減少したことを意味します。BS=土壌、RS=根の表面に近い根圏土壌、RP=根の表面、およびES=根の内部。