膜性糸球体腎炎(Membranous Nephropathy)の治療には、捕体経路の阻害が有効

The Ohio State University Wexner Medical Centerらのグループは、膜性糸球体腎炎(Membranous Nephropathy:MN)の原因となっているのが補体の過剰な蓄積であることを指摘してます。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7879111/pdf/main.pdf

腎臓組織切片からLMDでサンプルを取得し、質量分析にて、IgG及び補体の発現量を網羅的に解析しました。その結果、膜性糸球体腎炎では、IgG1~IgG4およびCR1以外の全ての補体群が健常者に比較して高発現していることが確認されました。一方で、mannose-binding lectin (MBL), Ficolin, Collectinらは検出されませんでした。これらの結果は、レクチン経路ではなく、補体古典経路が異常に活性化され糸球体組織にダメージを与えていることが示唆されます。CR1は主に糸球体上皮細胞(podocyte)に発現していることから、ダメージを受けてCR1が減少することが補体の活性化を更に加速しているのかも知れません。なお、膜性糸球体腎炎の場合には、M-type phospholipase A2 receptor (PLA2R)が発症の抗原になっていると考えられているようです。