経口蛋白分解酵素阻害剤(Camostat Mesilate)のCOVID-19に対する有効性は失望的

Aarhus University Hospital, Denmarkらのグループは、経口蛋白分解酵素阻害剤(Camostat Mesilate:TMPRSS2阻害剤)のCOVID-19への治療効果を報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8060682/

本試験では、ダブル・ブラインド、ランダム化、プラセボコントロールの治験が実施されています。この治験の背景は、TMPRSS2を阻害することによって、感染患者におけるSARS-CoV-2の増殖を阻止し、急性呼吸器不全に至る重症化のリスクを下げられるかも知れない、ということにあります。しかしながら、試験結果は誠に残念なものであり、経口蛋白分解酵素阻害剤(Camostat Mesilate:TMPRSS2阻害剤)は、COVID-19患者に対して、急性呼吸器不全による死亡、挿管、酸素吸入期間、入院期間らあらゆる項目に対して有意差を認めませんでした。

本治験において、camostat mesilateのドーズが最適されていなかったのではないか?という疑念は残りますが、 ブログ管理人は、ACE2-TMPRSS2によってイニシエートされるという感染パスが実は肺上皮細胞ではメジャーでなく、免疫細胞に発現するC-Type lectinや食作用を介した感染ルートがメインになっているのではないか?という疑念をぬぐい切れません。