筋形成における糖鎖とレクチンの役割:Galectin-1が筋形成を促す

The University of Melbourneらのグループは、骨格筋の成長における糖鎖修飾の変化を経時的に調べると同時に、Galectinの役割について研究しています。
https://www.mcponline.org/article/S1535-9476(20)35144-6/fulltext

筋形成においては、末端di-Galが減少、α2-6Siaが増加、α2-3Siaが減少、paucimannoseが増加する、というような傾向がみられます。これらの変化は、筋形成における細胞間信号伝達に関わっているものと考えられますが、具体的なシグナルパスについては不明です。一方、糖鎖修飾を認識するGalectinについては、Galectin-1の発現が上昇し、Galectin-3の発現が減少するという傾向がみられました。
生まれたばかりのネズミを使い、左足には空のmultiple cloning site(MCS)をAAV6で遺伝子導入し(Controlとして使用)、右足にGalectin-1の遺伝子LGALS1をAAV6で遺伝子導入し、42日後に違いを比べてみると、LGALS1の導入で筋肉量が有意に増加したとのことです。即ち、Galectin-1が筋形成を促すという働きを持つことが分かります。
なお、下図でLGALS1の比較として参照されている14-3-3タンパク質ですが、細胞間シグナル伝達に関係しており、タンパク質の特定の配列内にあるSer/Thr残基をリン酸化依存的に認識捕捉し,そのリン酸化状態の生理的機能を発現させる役割を担っています。