海藻から抽出される多糖類のSARS-CoV-2の感染阻害効果について

Marine Biotechnology Research Center, Koreaらのグループは、海藻から抽出した多糖類のSARS-CoV-2の感染阻害効果と細胞毒性について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8071526/

海藻類は、非常に優れた生薬ソースであり、多糖類、食物繊維、アミノ酸、脂肪酸、天然色素、フタロタンニン、ビタミン、ミネラルなどが抽出できます。これらの成分は、非常に多岐にわたる薬理効果を持ち、抗腫瘍活性、酸化防止、抗細菌・ウイルス活性、抗凝固活性、免疫活性効果などが知られています。

次の多糖類について、SARS-CoV-2の感染阻害効果と細胞毒性が評価されました:
ワカメ、
ミウマコンブ、
ヒジキ、
アカモク、
アワビ内蔵、
ミル、
アサクサノリ、そして
フコイダン。

細胞毒性は、HEK293/ACE2 細胞を用いて評価され、各々の多糖類は、1 ng/mL ~ 1 mg/mL (1/10希釈系列) の濃度にてアプライされ、96時間インキュベートされました。ほとんどの多糖類は、シビアな細胞毒性は示しませんが、アワビ内蔵、ヒジキ、アサクサノリは、1 mg/mLの濃度で少々細胞毒性を示し、アワビ内蔵 の細胞毒性が一番顕著でありました。細胞毒性の強さの度合いは、アワビ内蔵、アサクサノリ、ミル、ヒジキ、ミウマコンブ、ワカメ、アカモク、フコイダンの順に並びますが、これらすべてのCC50 は、500 μg/mL以上でありました。

多糖類による感染阻害効果は、HEK293/ACE2細胞にSARS-CoV-2 疑似ウイルスを用いて評価されました。アサクサノリを除くすべての多糖類がSARS-CoV-2 疑似ウイルスに対して感染阻害効果を示しました。評価された多糖類の中では、アカモクが最も高い抗ウイルス効果を示し、IC50 は 12 μg/mLでありました。その他は、次のような順番になります、アワビ内蔵 (33 μg/mL)、ヒジキ (47 μg/mL)、ミル (74 μg/mL)、ミウマコンンブ (105 μg/mL)、 フコイダン (142 μg/mL)、ワカメ (289 μg/mL)、であります。

結論としては、アカモクの多糖類がSARS-CoV-2の感染阻害には最も適しているようです。