小麦の根圏:種子由来の根圏細菌と土壌由来の根圏細菌

Institute of Applied Microbiology, Justus-Liebig-University, Giessen, Germanyらのグループは、小麦の根圏形成における種子由来の根圏細菌と土壌由来の根圏細菌の影響について小麦の遺伝子型や土壌の違いを総合的に研究しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8789879/

種子由来の根圏細菌種は、特定の土壌、特定の小麦の遺伝子型の下で濃縮されていました。全体としてみれば、種子由来の根圏細菌および真菌の微生物種は、根圏と比較して根の内層圏で高くなっています。また、小麦の遺伝子型(A. tauschii、T. aestivum、T. dicoccoides、およびT. durum)の違いが、根圏細菌および真菌の細菌叢の組成に大きく影響しています。面白いことに、小麦のT.durum株とその祖先であるT. dicoccoides株の根圏微生物叢の組成は、3つの異なる土壌で類似していましたが、濃縮された細菌・真菌属は土壌によって異なっていました。根圏微生物叢の環境変数の分析からは、根圏細菌と真菌が土壌中のアンモニウムと硝酸塩の含有量によって著しく影響を受けることが分かりました。

非常に大雑把に言えば、根圏微生物叢の形成は、種子が土壌に植えられた直後に始まり、種子微生物叢、植物遺伝子型、および土壌微生物叢が、植物の根から分泌される特定の二次代謝物やシグナル伝達物質の結果として、協調的に最終形態を形成していくと言えるのです。