冬小麦の根圏:菌根菌ヘルパーバクテリアとしてのグラム陽性菌Bacillus amyloliquefaciensがArbuscular菌根菌の共生を助け、小麦の収量を増やした

University of Hertfordshire, Hatfield, UK のグループは、菌根菌ヘルパーバクテリアとしてのBacillus amyloliquefaciensが、arbuscular菌根菌の共生を助け、冬小麦の収量が増加することを報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8309287/

土壌細菌と植物との関係は非常に複雑であり、土壌の富栄養化をもたらし、植物の免疫と防御を強化し、植物の収量を改善し、二酸化炭素を固定するといったメリットをもたらします。Arbuscular菌根菌は、地球上の植物の80%もの根圏に存在する真菌のひとつであり、植物と菌根菌は相利共生を超えたお互いに無くてはならない関係を構築しています。菌根菌ヘルパーバクテリアは、そんなArbuscular菌根菌を刺激し、植物と土壌細菌の共生をより強固なものにします。その三者(植物、Arbuscular菌根菌、そして菌根菌ヘルパーバクテリア)の関係において、しかしながら、菌根菌ヘルパーバクテリアとArbuscular菌根菌との関係については良く分かっていないことが多いのです。そこで、本研究においては、菌根菌 R. intraradices (Ri)に加えて、三種のグラム陽性菌を菌根菌ヘルパーバクテリアとして評価しています:B. subtilis(Bs)、B. pumilis(Bp)、B. amyloliquefaciens(Ba)であります。

一般的な耕耘(CT) は、土壌細菌の多様性とその存在量に直接的に影響します。耕耘によって菌根菌の菌糸ネットワークが破壊され、植物の根の皮質に侵入した樹枝状体が減少してしまいます。しかし、根圏細菌に対する耕耘の影響というのも十分理解されているわけではありません。そこで、上記の一連の実験は耕耘あり(CT)、無し(ZT)で評価されました。

結論としては、グラム陽性菌であるB. amyloliquefaciens が、Arbuscular菌根菌の共生を助け、冬小麦の収量を増やすという事が分かりました。