ナイーブB細胞の過剰な浸潤が新型コロナウイルス(COVID-19)の重症化のきっかけを作る

新型コロナウイルス(COVID-19)の患者では、CD4+/CD8+ T細胞、形質細胞、マクロファージらの過剰な肺組織への浸潤が共通して起こっており、これが肺組織へのダメージやその繊維化につながっていると理解されています。
National Defense Medical Center, Taipeiのグループは、この引き金になっているのがナイーブB細胞の過剰な浸潤であるとレポートしています。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0242900

以下のようなメカニズムが考えられます。
COVID-19は、β2-インテグリンやα4β1インテグリンの活性化を介して、縦隔リンパ節へのナイーブB-細胞の蓄積やその活性化を引き起こします。SARS-CoV-2のS-タンパク質によって活性化されたナイーブB-細胞の過剰な浸潤により、多量のIgMが分泌され、液性免疫応答が活性化されます。これにより、多量の単球が肺組織にリクルートされ、マクロファージへと分化します。分泌されたIgMは同時に、補体システム、樹状細胞のFc受容体、そしてマクロファージを活性化し、SARS-CoV-2の抗原提示を増加させるとともに、食作用を強化します。加えて、SARS-CoV-2の抗原提示の増加は、IL-12依存の形質細胞の分化を通じて濾胞外反応を加速し、胚中心の形成とB-細胞の成熟を抑えてしまいます。

結論として、ナイーブB-細胞をターゲットとする治療法の重要性が提案されています。