SARS-CoV-2 D614G変異株のN型糖鎖プロファイルの変化について

Division of Laboratory Sciences, National Center for Environmental Health, Centers for Disease Control and Prevention (CDC), Atlanta, GA USAらのグループは、wild typeのSARS-CoV-2(S-614D)とその変異株(S-614G)の間でのN型糖鎖プロファイルの変化について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8651636/

SARS-CoV-2 Spikeタンパク質における22個の潜在的なN型糖鎖修飾サイトの内、21箇所について、糖鎖修飾サイト特異的な不均一なN型糖鎖の分布とぞの存在量を、α溶菌プロテアーゼ、トリプシン、キモトリプシンの組み合わせによって切断された糖ペプチドの質量分析にて評価しています。

S-614G変異体の分析により、幾つかのN型糖鎖修飾サイトにおいて、S-614Dで見られるものとは異なるN型糖鎖が発現していることが分かりました。 21個の検出および定量化されたN型糖鎖修飾サイトのうち、N17、N61、N74、N331、N343、N657、N1074、N1158、およびN1173を含むこれらのN型糖鎖修飾サイトの内9つは、S-614GとS-614Dの間で個々の糖鎖と糖鎖タイプの両方の分布にほとんど、または全く有意な変化がありませんでした。 しかし、N122、N165、N234、N282、N603、N616、N709、N717、N801、N1098、およびN1134を含む11個のN型糖鎖修飾サイトでは、変化が起こっていました。

複合型糖鎖の相対存在量は、S-614G糖タンパク質のN型糖鎖が変化した修飾サイトで最大45%減少し、対照的に、ハイマンノース型糖鎖の含有量は最大33%増加していました。

これは、糖鎖の観点からすると、S-614G変異株では、糖鎖の異種抗原性が増加していることを意味すると思われます。