lectibody:レクチンとscFC抗体の二重特異性を持つ人工分子を癌治療に用いる方法

Faculty of Biology, University of Freiburg, Freiburg, Germanyらのグループは、細胞障害性T-リンパ球を動員すると同時に、癌細胞上の腫瘍関連抗原に結合する”lectibody”を、癌治療の新しいモダリティとして報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9733292/

lectibodyは、志賀毒素のBサブユニットに抗CD3単鎖抗体フラグメントを結合させることによって実現されました。悪性癌細胞に発現する腫瘍関連スフィンゴ糖脂質グロボトリアオシルセラミド (Gb3) は志賀毒素のB サブユニット(レクチンの一種)によって選択的に認識され、T-細胞上のCD3受容体は、抗CD3結合分子としての単鎖抗体フラグメント(scFv)OKT3によってターゲティングされます。

この基本概念の正しさを証明する為に、Gb3抗原の発現量が異なるふたつのヒト結腸腺癌細胞株、HT-29およびLS-174、をlectibodyで標的しました。 HT-29細胞株は多量のGb3を発現しますが、対照的に、LS-174細胞株は非常に少量のGb3を発現するか、或いは全く発現しません。以下のように、癌細胞の殺傷活性は、標的細胞の表面におけるGb 抗原の存在量と強く相関することが示されました。