骨髄細胞におけるシアル酸修飾の変化

Baltimore Veterans Affairs Medical Center, Research Service, Baltimore, MD, USAらのグループは、ヒトの骨髄細胞がアポトーシスや分化を受ける場合のシアリダーゼ(シアル酸分解酵素)の発現変化について報告しています。
https://www.nature.com/articles/s41598-022-18448-6

成熟ヒト好中球 (PMN) および HL60 前骨髄球性白血病細胞株におけるシアリダーゼ/ノイラミニダーゼ (NEU) 活性と発現に着目し、アポトーシスを受ける PMNで起こる変化、およびHL60がPMN 様細胞へ分化する場合に生じるシアルサン修飾の変化が観察されました。

PMN は、侵襲的な原核病原体に対する宿主防御のフロントラインにいます。骨髄前駆細胞は、骨髄内で成熟PMNへと成熟します。PMNは大きく細胞形状を変化させることができ、これらの細胞が微小血管系と内皮細胞間接合部を通過して血管外組織に侵入し、そこで細菌を捕捉して、その食作用により細菌を殺傷します。HL60 前骨髄球性白血病細胞株は、骨髄造血のモデル細胞として良く使用されているものです。

以下に示すように、プロアポトーシスPMNでは、NEU2の発現が30倍以上も増加しました。つまり結果としてシアル酸修飾が激減します。

以下に示すように、分化した HL60 (dHL60) 細胞の総 NEU 活性は、未分化細胞と比較して劇的に減少しました。即ち、分化細胞ではシアル酸修飾が増加します。