骨髄系細胞上のC型レクチン (DC-SIGN, L-SIGN, LSECtin, ASGR1, CLEC10A) が、COVID-19の過剰な免疫反応を誘起する

New York University Grossman School of Medicineらのグループは、骨髄系細胞(単球、樹状細胞、マクロファージらに分化)のC型レクチンが、COVID-19の過剰な免疫反応を誘起すると報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8106883/

骨髄系細胞に発現する5つのC型レクチン受容体(DC-SIGN、L-SIGN、LSECtin、ASGR1、CLEC10A)およびTweety family member 2 (TTYH2)のcDNAをトランスフェクトしたHEK293T細胞と、ヒトのIgGのFc部を融合させたSARS-CoV-2 Spike、S1、RBDとの結合性を調べました。HEK293Tに遺伝子導入によって発現させた骨髄系細胞のそれら受容体が、SARS-CoV-2の感染受容体とされるACE2とは無関係に、SARS-CoV-2と結合することが明確に示されました。DC-SIGN、L-SIGN、ASGR1、CLEC10Aは、Hisタグ付きの可溶性ACE2を加えても、その結合は全く阻害されませんでした。しかし、ACE2自身とLSECtinはHisタグ付きの可溶性ACE2よって見事に阻害されました。また、DC-SIGNとL-SIGNの結合は、Mannanを添加することで完全に阻害されました。

更に、SARS-CoV-2 Spikeタンパク質を発現するようにしたGFPをエンコードしたHIVベースのレンチウイルス(SARS-CoV-2 偽ウイルス)を用いても同様な実験が行われました。上記のようにして作られたHEK293TとSARS-CoV-2 偽ウイルスを共培養すると、ACE2を発現するようにしたHEK293Tと同じように、強いGFPの信号がDC-SIGNとL-SIGNのそれらからも観測されました。 LSECtin、ASGR1、CLEC10AおよびTTYH2からのGFPの信号は非常に弱かったのですが、furin や TMPRSS2 を共発現するようにしたものでは、その信号が強調されました。Spikeタンパク質の実験で、Mannanで結合が阻害されたように、この場合でも、DC-SIGN、L-SIGNのSARS-CoV-2偽ウイルスによって誘起されたGFPの信号は、Mannanによって見事に阻害されました。これらのデータは、SARS-CoV-2 偽ウイルスでも骨髄系細胞の受容体がSARS-CoV-2のSpikeタンパク質と変わらぬ関係性を維持していることを示しています。