非常に乾燥した砂漠の地中深くの細菌叢はどうなっているか?:アタカマ砂漠の例

Departamento de Ingeniería Química, Universidad Católica del Norte, Antofagasta, Chileらのグループは、アタカマ砂漠の非常に乾燥した土壌細菌叢がどのような状態にあるのかを報告しています。根圏細菌叢ではありませんが、乾燥した土壌の細菌叢を理解する上で参考になると思います。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8859261/

非常に乾燥したアタカマ砂漠の土壌において、その深部も含め、土壌細菌の生態がどのようになっているか非常に興味があります。
本研究では、(i)表面ゾーンA(0〜60 cm)、(ii)中間ゾーンB(60〜220 cm)、(iii)深部ゾーンC(220〜340cm)と深さ方向にゾーンニングすることで調査が行われました。
なお、土壌の含水率は、ゾーンAからゾーンCと深くなるにつれて、2〜11%に変化していました。

土壌細菌叢は、調査されたすべての深度ゾーンで、プロテオバクテリア、アクチノバクテリア、バクテロイデス、およびファーミキューテスによって支配されていました。ただし、土壌細菌叢の構成は土壌の深さによって異なってます。
その特徴をまとめると、

  • ファーミキューテスは、ゾーンCよりも表面ゾーンAでわずかに高い検出頻度を示しましたが、ゾーンBでは検出されませんでした。ファーミキューテス内では、LachnospiraceaeとBacillaceaeの検出はゾーンAに限定されていましたが、オシロスピアとSalisediminibacterはゾーンC(より含水慮の多い条件)でのみ検出されました。
  • アクチノバクテリアも異なるニッチを示し、SporichthyaceaeはゾーンBとCの層でのみ検出されましたが、IllumatobacteraceaeはゾーンAにでのみ検出されました
  • 最深部は、プロテオバクテリア、特に、ComamonadaceaeとMarinobacteraceaeによって支配されていました。
  • プロテオバクテリアのSphingomonadaceaeは、ゾーンBのいくつかの層で高い存在量を示しましたが、ゾーンCでは低い存在量を示しました。
  • 注目すべきは、Cyanobacteriaが、土壌プロファイル全体に渡り、低い存在率ですが検出されたということです。