脱フコシル化がマクロオートファジーの活性化に関係している

Tumour Cell Death and Autophagy Laboratory, Cancer Research UK Beatson Institute, Glasgow, UKらのグループは、脱フコシル化がマクロオートファジーを促進すると報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9245654/

マクロオートファジーは長寿命タンパク質の分解の主要なメカニズムであり、オルガネラを分解する唯一のメカニズムであるため、オートファジーの異常は、神経変性疾患、炎症性疾患、糖尿病、癌などのさまざまな疾患につながる可能性があります。

糖鎖修飾を受けるタンパク質の割合が高いため、マクロオートファジーは、ポリペプチドを分解する酵素だけでなく、糖鎖を分解する酵素にも依存しているに違いないと容易に推測されます。

著者らは、糖鎖の分解、特に脱フコシル化がマクロオートファジーのプロセスに強く関与していることを発見しました。
本研究では、細胞および組織におけるリソソーム糖鎖加水分解酵素FUCA1の発現の喪失がオートファゴソームの蓄積を引き起こすことが示され、FUCA1が基礎オートファジーと刺激オートファジーの両方を調節することを示しています。更には、FUCA1はオートファゴソーム-リソソーム融合(FUCA1の喪失は融合プロセスの失速を引き起こす)とオートファジーのターンオーバー段階(FUCA1の喪失はベースライン条件下でLC3-IIレベルの増加を引き起こすが、プロセスのターンオーバー段階を完全にブロックするわけではない)の両方をサポートする、ことが明らかにされました。飢餓状態では、FUCA1の喪失によりオートファゴソームのクリアランス速度が低下し、マイトファジーの誘導時にミトコンドリアが分解されることがわかったことは注目に値し、これはFUCA1が、複数の状況で効率的なオートファジーフラックスに必要であることを示唆しています。

FUCA1の重要性は、先天性リソソーム蓄積症フコシドーシスにつながる遺伝子の突然変異によって例示されていますね。