新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の中和抗体応答について:治療中にウイルス集団の遺伝子変異が起こる

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、RNAウイルスですが、一般的にこのタイプのウイルスは、平均的に年間23個前後の遺伝子変異が発生します。

University College Londonらのグループは、免疫不全のCOVID-19の患者に対して行われた回復期患者血漿治療がSARS-CoV-2ウイルス集団の進化に及ぼす影響について興味深い研究結果をレポートしています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7781345/

治療には、レムデシビルと回復期患者血漿が使用されており、前者は、発症後41日、54日、に投与されており、後者は63日、65日に投与され、93日には、両方が投与されています。
(なお、回復期患者血漿の治療効果については、臨床状態または全体的な死亡率に有意差は認められないという報告が既にでています、例えば、下記論文参照
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33232588/

下図のように回復期患者血漿の投与で、ウイルス集団の変異が極めてダイナミックに変化していくことが示されています。それほどにRNAウイルスは変異しやすく、回復期患者血漿投与の治療効果をすりぬけていく、ということを示しているようです。