新型コロナウイルス(COVID-19)の死亡率を下げるには、IL-10が重要なターゲットになり得るかも知れない

新型コロナウイルス(COVID-19)の重症化とは、非常に重い肺炎と多臓器不全にあります。これは、SARS-CoV-2ウイルス感染の結果として誘発されるサイトカインストームの結果であるとされています。サイトカインストームを抑えるために。IL-6, IL-1, GM-CSFらサイトカインの阻害剤が検討されていますが、死亡率を下げるには更なる改善が必要とされています。
下記のグループは、これに加えてIL-10の重要性を見直すべきではないか?という論調を出しています。
https://www.cell.com/action/showPdf?pii=S1471-4906%2820%2930256-8

IL-10というサイトカインは、一般的には抗炎症性サイトカインとして認識されています。しかし、IL-10の機能と言うのは多面的で、メラノーマ、腎細胞癌、肺非小細胞癌らの治療において、IL-10がしばしば炎症性サイトカインとして作用する例が報告されています。COVID-19においては、ウイルスに感染し重症化が進むについれて、各種サイトカインの中でもIL-6とIL-10が非常に高発現し、重症化を予測するための共変量となっています。
感染初期の段階では、IL-10は炎症の進展に伴うバランサーとしての抗炎症性サイトカインとして機能しているのかも知れませんが、重症化が進んだ時には炎症性サイトカインとして機能している可能性があります。その為、投与時期はクリティカルですが、IL-10の阻害剤をIL-6らの阻害剤と合わせて投与することが有効かも知れないとしています。

実証はこれからの作業になります。