新型コロナウイルスの感染受容体であるACE2は、上気道の上皮細胞に存在する繊毛細胞にかなり局在的に存在している

新型コロナウイルスにおいて、主要な感染受容体は、ACE2であることは良く知られています。そのACE2の発現状態について、詳細に調査した結果が報告されています。
https://www.nature.com/articles/s41467-020-19145-6

ACE2は、遺伝子発現解析にて、鼻咽頭、肺、小腸、腎臓、精巣に発現が認められるとされていますが、ACE2抗体を用いた免疫染色では、肺におけるACE2の発現は、その他器官よりも相対的に少ないようです。また、ACE2は、上気道の上皮細胞に存在する繊毛細胞にかなり局在的に存在して発現しているようです。

一方、ACE2の発現量は、年齢、性別、喫煙とはほとんど相関がないことも分かりました。SARS-CoV-2の感染で心配される高血圧治療に用いられるAngiotensin-converting enzyme inhibitors (ACEI)、angiotensin II receptor blockers (ARBs)らの薬剤投与もACE2の発現量には影響を及ぼさないことが分かりました。

従って、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染防止や重症化については、以下が指摘されます。
(1)口腔鼻腔へのSARS-CoV-2阻害剤が感染防止予防に有効
(2)ACE2の発現量自体はCOVID-19の重症化とは無関係