前立腺がんをエクソソームのシアル酸で検査するというが

Institute of Chemistry, Slovak Academy of Sciences, Bratislavaらのグループは、前立腺がんの検出に、CD63/エクソソーム/SNAレクチンというサンドイッチ法を使用した結果について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10892626/

本研究では、前立腺がん細胞によって産生されるエクソソームが、前立腺がんを検出するための新しいバイオマーカーと成り得るとしています。

良性(コントロール)細胞株RWPE1 および前立腺がん細胞株22Rv1によって産生されるエクソソームの比較から、次のことが示されました。
(1) コントロールのエクソソームは主にSNAおよびMAAIIレクチンと相互作用し、しかしながらその反応はがん性エクソソームよりも低い値となり、また
(2) PHA-LとPHA-Eレクチンは、コントロール由来のエクソソームとはわずかに反応し、がん性エクソソームとは相互作用しませんでした。
通常、完全にシアリル化された N-型糖鎖ではPHA-LやPHA-Eのシグナル強度が消失するため、この結果は非常に合理的です。つまり、シアル酸修飾がコントロールのエクソソームよりもがん性エクソソームで強いことを示しています。

しかし、本ブログ著者は、エクソソームは一般に強くシアリル化されており、CD63 は前立腺がん細胞によって生成されるエクソソームを他のエクソソームから区別できないことから、サンドイッチ構成、つまり抗体/エクソソーム/レクチンで前立腺がんを検査できるという本論文の結論には懐疑的です。