ピーナッツの栽培における連作と輪作の根圏細菌叢の違い:連作では、善玉菌が減少し、病原性真菌が増える傾向がある

College of Forestry, Shandong Agricultural University, No. 61, Daizong Street, Taian, 271018 Shandong Chinaらのグループは、ピーナッツの栽培における連作と輪作が与える根圏細菌叢の違いについて報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8854431/

門のレベルでは、連作と輪作を比べると、
バクテリア門では、 プロテオバクテリア(輪作で高い)、クロロフレクサス(輪作で高い)、アキドバクテリウム(輪作で高い)、WPS-2(輪作で顕著に高い)、そしてファーミキューテス(輪作で顕著に低い)、
真菌門では、子嚢菌(輪作で高い)、ケカビ(輪作で顕著に低い)。

属のレベルでは、連作と輪作を比べると、
バクテリア属では、アシディバクター(輪作で高い)、プイア(輪作で高い)、ラルストニア(輪作で顕著に高い)、Clostridium_Sensu_Stricto_1(輪作で顕著に低い)、ツリシバクター(輪作で顕著に低い)、ロンバウシア(輪作で顕著に低い)、ストレプトマイセス(輪作で顕著に低い)、Bryobacter(輪作で低い)、そしてPaeniclostridium(輪作で顕著に低い)、
真菌属では、タラロミセス(輪作で顕著に高い)、ケタマカビ(輪作で顕著に低い)、クサレケカビ(輪作で顕著に低い)、ネオコスモスポラ(輪作で顕著に低い)、Solicoccozyma(輪作で顕著に低い)、そしてPapulaspora(輪作で顕著に低い)。

バクテリアについては、プロテオバクテリアがさまざまな地理的地域の細菌叢と土壌タイプを支配していることが示されてきており、リゾクトニア病を抑制する善玉細菌としても良く知られています。

真菌の場合には、タラロミセスは、シリンドロカルポン根腐病菌、フサリウム・オキシスポルム、リゾクトニア・ソレニなどに対して拮抗的な真菌機能を示し、輪作の根圏土壌におけるフサリウム、ペニシリウム、ジベレラやコトトリカムなどの病原体の相対的な存在量が、連作の場合よりも低下しています。ペニシリウムは、果物、野菜、肉の腐敗を引き起こす可能性のある毒素産生属ですし、フサリウムは、植物の腐敗、茎の腐敗、花の腐敗などを引き起こします。更に、ジベレラは壊滅的な植物病害を引き起こし、人間や動物に有毒な特定の毒素や活性代謝物を生成吸うことが知られています。

これらの観察結果は、長期の連作により、ピーナッツ根圏の細菌叢が変化し、潜在的に善玉なバクテリア属の相対的な存在量が程度減少し、潜在的に病原性の真菌属の相対的な存在量が増加したことを示しています