バチルス菌とシュードモナス菌の連携が大麻草を育てる:根圏細菌の代謝物の重要性

University of Moncton, Moncton, NB, Canadaらのグループは、バチルス菌とシュードモナス菌の相互作用が植物の生長を促すと報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8488376/

本研究においては、カナダの土壌から単離されたバチルス菌とシュードモナス菌を使用し、単体を接種した場合、両方を接種した場合で、大麻草の成長に与える影響を調査しています。基本になる土壌には、市販品の土壌である(Promix と Canna coco)が使用されています。

単一菌の接種では、本実験の条件下では、植物の成長促進効果は見られませんでしたが、両方で処理した場合(バチルス菌とシュードモナス菌)には、顕著な植物成長促進効果が見られました。元になる土壌の違いで、効果には若干のバラつきが出ます。

ここで、223と825は、シュードモナス菌、979、1082、279は、バチルス菌。 PromixとCanna cocoは、市販の異なった土壌。

どうして、このような植物成長促進効果が得られるのか?という点が大きな課題なのですが、土壌細菌の代謝経路に違いが見られたことは注目に値します。特に、下記の5種の代謝経路が昂進していました。

  • oxidative glucose degradation
  • creatinine degradation I
  • L-lysine biosynthesis II
  • S-methyl-5-thio-α-D-ribose 1-phosphate degradation I
  • L-methionine salvage cycle III)

これら5種の代謝経路が植物成長促進の背後にあるかも知れず、これらは、バチルス菌やシュードモナス菌の代謝経路にリンクしていることは確かです。

この研究の中で同定されたリン脂質代謝経路 は、植物における重要な二次情報伝達物質経路として知られており、植物ホルモンや土壌細菌の誘発に関係しています。バクテリアから分泌されるリン脂質代謝酵素によって、リンが植物が吸収されやすい形に可溶化され植物の生長に寄与するとされています。シュードモナス菌におけるリン脂質代謝や糖代謝が土壌中の栄養素を吸収しやすい形に変えることで植物の成長が促進されるのでしょう。