新型コロナウイルス(COVID-19)の新しい治療法:Topoisomerase 1 阻害剤が一気にSARS-CoV-2のウイルス感染によって誘起される遺伝子群の発現を抑える

新型コロナウイルス(COVID-19)が重症化すると、急性呼吸促迫症候群や多臓器不全を引き起こし、サイトカインストームが発生していることは周知の事実です。
炎症を抑えるために、IL-6, GM-CSFといった特定のサイトカインに対する阻害剤を使用しても、効果は限定的です。というのも、サイトカインストームの引き金を引くプロセスには、数多くの分子が関与しており、幾つものシグナルパスが存在するからです。
そこで、下記のグループは、ウイルス感染によって誘起される遺伝子の転写プロセスを一気に阻害してしまう為に、DNA Topoisomerase-1の阻害剤に着目しました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33299999/

因みに、Topoisomerase-1はDNAの2 重螺旋構造を解くのに必須の酵素であります。
ハムスターを用いたin vivo実験にて、ウイルス感染によって高発現する遺伝子群がTopoisomerase-1阻害剤により抑制され、肺の炎症が抑えられることが示されました。