新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のSタンパク質のD614G変異で感染能が上がっている原因は、RBD(Receptor Binding Domain)のConformationの変化にある

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)において、現在は、Sタンパク質のD614G変異を持つ株が感染の主流となっています。University of Massachusetts Medical Schoolらのグループは、何故、過去のD614よりもD614G変異の方が感染能が高いのかという原因についてその研究成果を報告しています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7492024/

SPRを用いて、D614GとACE2との相互作用を解析した結果は、D614G変異によってACE2へのアフィニティーが高まっていることが原因ではないことを示しており(むしろ、若干アフィニティーが下がっている)、Cryo-EMによるSタンパク質の構造解析からは、RBD(Receptor Binding Domain)のClose とOpenの存在割合が変化しており、D614よりもD614G変異の方がOpen構造の割合が増加していることを示しています。従って、D614Gの感染能が高まっている原因は、Sタンパク質のRBDがより露出したことが原因であると結論されています。