バシラス属 (5.SG.3) と シュードモナス属 (2.C.19) を小麦の根圏で共存させると、小麦の根の成長が促進され、塩害にも強くなった

Agricultural University of Athens, Athens, Greeceらのグループは、小麦の根圏において、バシラス属 (1.SG.7, 5.SG.3) と シュードモナス属 (2.SG.20, 2.C.19) を混合して使用すると、それぞれを単独で用いた場合よりも、根の横方向への成長本数が増え、その総量も増加し、更に塩害にも強くなるということを報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8400701/

68種の アリールスルファターゼ(ARS)を生産するバクテリアを石灰質土壌で栽培される小麦の根圏から分離しました。バクテリアの系統学的な解析から、これらの分離された大部分のバクテリアは、シュードモナスバシラス 属に分類されることが分かりました。これら根圏バクテリアに対して、IAA分泌、抗菌活性、バイオフィルム精製、塩害耐性、らの観点から、8種のバクテリアが選別されました。具体的には、バシラス属(1.SG.7、5.SG.3)、シュードモナス属(2.SG.20、2.C.19、3.SG.19、2.C.23、4.SG.6、2.SG.8)であります。

これら8種のバクテリアは、どれも、根の横方向への本数とその総量を増加させました。この植物成長促進能力は、バクテリアを混合することで更に増強され、特にバシラス属(1.SG.7、5.SG.3) とシュードモナス属(2.SG.20、2.C.19)の混合が効果的であり、塩害に対しても強くなりました。

非常に多くのバクテリアや菌類を含む根圏は全くの複雑系であり、植物成長促進根圏バクテリア(PGPR)として、どのようにすればより効果的な根圏内バクテリアの構成が得られるのかを理解する為には、ここで示されたように、代表的な根圏バクテリアにフォーカスして研究する方法が有効であろうと思われます。