グライコテクニカの軌跡

2011年6月22日:ファーストカインズ設立
2012年12月13日:グライコテクニカへ社名変更(代表取締役:高畠晴美、取締役:堤昭二、山田雅雄)
2013年3月31日:GPバイオサイエンスより事業譲渡を受け、再起を誓ったGPバイオサイエンスのメンバーがJOINして再立上げ開始
2015年10月13日:本社を札幌から横浜市青葉区美しが丘に移転
2017年6月26日:Glycomics Profiling CenterをWistar Institute, Univ. of Pennsylvania, USAに設立
2018年9月7日:GlycoBiomarker Leading Innovations (GLI)より事業譲渡を受ける
2018年10月1日:プレシジョン・システム・サイエンス(PSS)とBISTに関する共同研究契約を締結
2019年6月27日:本社および横浜事業所を横浜市青葉区美しが丘5-28-6 平野ビル3-101に統合
2020年10月~11月:堤、山田ら退任し、山内香織が取締役に就任、代表は同じく高畠晴美
2020年12月25日:COVID-19の重症化を抑える新薬の開発に対してクラウドファンディング達成
2022年8月10日:横浜地方裁判所にて破産手続き開始


グライコテクニカは、GPバイオサイエンスより事業譲渡を受けた糖鎖解析(糖鎖プロファイリング)に関する世界唯一のプラットフォーム技術”GlycoStation”を生かして、新たなバイオマーカーの探索、臨床検査技術の性能向上、抗体医薬品の糖鎖プロファイリング、再生医療における新たな安全性基準の構築、感染症とプロバイオテクスなど、第3の生命鎖である糖鎖とレクチンを軸に人の健康に貢献する先端的なバイオテクノロジー・サービス企業として活動していた。

グライコテクニカ立上げ時の従業員数は役員も含めて6名、最盛期の従業員数は役員も含めて14名、売上高は1億円を超えていた。

グライコテクニカのGlycoStationは、米国FDAに採用されており、バイオ医薬品の糖鎖プロファイリング解析の有効性について論文=2報が発表されている。診断薬事業の開発にも大きな進歩があったことは、記憶に留めるべきだろう。岡山大学医学部との共同研究成果として、尿一滴からのIgA腎症の診断に関してPMDA相談も行ない、実用化の一歩手前まで到達していた。再生医療への応用でも、レクチンマイクロアレイのデータに深層学習を組み合わせて、驚異的な精度で間葉系幹細胞の判別に成功していた。研究開発支援の分野においては、従来からのレクチンマイクロアレイ、LecChip Ver1.0、に対して、レクチンのリコンビナント化を大幅に進めた従来とは異なる糖鎖結合特異性を示すレクチンを搭載したLecChip Ver2.0もリリースした。糖鎖プロファイラーに関しては、HighendのGSR2300のリリースに加えて、糖鎖・レクチンのマーケット拡大を目指し、超安価で超高速な普及機GlycoSuperLiteの上市も行なった。

COVID-19のパンデミックや糖鎖・レクチンのマーケットの変化によって受注量にブレーキがかかった晩年であったが、不幸にも、半導体の12か月以上という長納期問題が同社の最後の息の根を止めてしまった。助成金事業については、GPバイオサイエンスの失敗を教訓とし、多額の2/3助成の事業は実施せず、且つ事業に直結する課題を厳選していた。グライコテクニカがGPバイオサイエンスよりも長生きした理由の一因でもある。歴史にもしもはないが、固定費がもう少し低ければ、倒産しなかった可能性は大いにあるだろう。今後の教訓である。


助成金事業一覧

  1. 北海道経産局、平成25年度小規模事業者活性化補助金に係る補助事業、鳥インフルエンザ・ウイルス早期見極め用糖鎖アレイ製品開発事業、平成25年10月15日~平成26年2月3日、120万円(2/3助成額)
  2. AMED 再生医療等製品(脂肪細胞医薬品)の糖鎖プロファイリングを用いた品質管理システムの構築、平成30年4月1日~平成31年3月1日、5,200万円
  3. AMED 糖鎖利用による革新的創薬技術開発事業、超高感度糖鎖プロファイリング技術の開発、平成28年9月1日~令和3年3月31日、9,700万円
  4. 横浜市中小企業新技術・新製品開発促進助成金、小型・超高速エバネッセント波蛍光励起糖鎖プロファイラーの開発、令和3年4月1日~令和4年1月29日、250万円(2/3助成額)
  5. LIP横浜、糖鎖変化を利用した尿診断キットの開発、令和3年7月8日~令和4年2月28日、100万円
  6. その他、MAB組合、遺伝子・細胞治療用ベクターのプラットフォーム製造技術開発に途中参加、途中退場